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水戸地方裁判所太田支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人高橋隆宥、同真田末太郞を各懲役六月に同森一郞を懲役四月に各処する。

但各被告人共本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

被告人真田から金四万円、同森から金一万円を各追徴する。

訴訟費用中、証人天木薫に支給した分は被告人高橋、同真田の負担、証人森一郞、同野内三之允、同小林仁太郞、同高野亀松、同小田部佐一、同飛田孝山、同高橋雅子、同南村春松に支給した分は被告人高橋の負担、証人高畠栄次、同森夏子に支給した分は被告人森の負担、証人江幡りきに支給した分は被告人真田の負担とする。

理由

被告人高橋隆宥は茨城県久慈郡佐竹村大字天神林二千四百十番地所在佐竹寺の住職で重要文化財に指定されている同寺本堂の管理者であり、被告人森一郞は昭和二十四年十月頃茨城県教育委員会主事を拝命し同会事務局社会教育課勤務、文化財係主任として重要文化財に関し文化財保護委員会並に茨城県教育委員会に提出する届書其他の書類の受理調査送付並に同会等が発する命令勧告指示等の告知をなす等の事務を担当し之に従事している者であり、被告人真田末太郞は昭和二十五年八月頃文化財保護委員会から文部技官を拝命し同会事務局保存部建造物課勤務第一修理係として重要文化財並に国宝建造物の国庫補助金下附申請に対する適否の意見具申、修理設計書の作成、同工事の技術的指導監督等の職務に従事していた者であるが、被告人高橋は前記佐竹寺本堂の修理工事に関し昭和二十五年九月頃から昭和二十六年十二月末頃まで文化財保護委員会及茨城県教育委員会に対し必要書類を整えて国費県費の補助金下附の申請及び其の他の届書を提出し国費補助金百五十五万円、県費補助金三十二万円の下附を受け総工費百九十八万円を以て同二十六年三月頃着工し同年十二月頃完成を見たのであるが、

第一、被告人高橋隆宥は

(イ)文化財保護委員会並に茨城県教育委員会に対する国費県費補助の申請其の他書類の受理調査送付等の事務を担当処理して呉れた被告人森一郞に対し其職務に関する謝礼として昭和二十七年一月下旬頃同寺庫裡で現金五千円、同日同寺境内で現金五千円、合計金一万円を各供与し

(ロ)昭和二十五年五月頃から昭和二十六年十二月頃まで屡々同寺に出張し破損状況の調査修理工事の設計書原案作成、修理工事中の技術的指導監督等をして呉れた被告人真田に対し其職務に関する謝礼として昭和二十七年一月下旬頃同寺庫裡で現金一万円、同日同郡太田町木崎一丁目旅館業江幡才一郞方で現金三万円を各供与し

第二、被告人森一郞は其職務として昭和二十五年九月頃から同二十六年十二月末頃までの間、被告人高橋から重要文化財保護委員会及茨城県教育委員会に対し国費及県費補助下附申請其他の書類を受理し之を調査送付したが其職務に関する謝礼の趣旨で供与するものであることを知りながら同人から昭和二十七年一月下旬頃前同寺庫裡で現金五千円、同日同寺境内で現金五千円、合計金一万円を各収受し

第三、被告人真田末太郞は其職務として昭和二十五年五月頃同寺に出張して本堂の破損状況を調査し同年七月頃之が修理工事の設計書作成資料調査の為め出張し総工費百九十八万円の設計書原案を作成し、被告人高橋から提出した国庫補助金下附申請書に対し適当なる旨の意見を附し文化財保護委員会に廻送し、修理施行中屡々出張して技術的指導監督に従事したが此等職務に関して供与するものであることを知りながら被告人高橋から昭和二十七年一月下旬頃同寺庫裡で現金一万円、同日同郡太田町木崎一丁目旅館業江幡才一郞方で現金三万円を各収受し

たものである。

(証拠説明は省略する。)

右被告人等の所為中、被告人高橋の金銭供与の点は各刑法第百九十八条第百九十七条第一項に該るから何れも懲役刑を選択し、被告人森、同真田の各所為は各同法第百九十七条第一項に該り、各被告人の所為は何れも併合罪であるから各同法第四十五条第四十七条第十条により被告人高橋の所為については被告人真田に対する金三万円の供与罪、被告人森については庫裡に於ける金五千円の収受罪、被告人真田については金三万円の収受罪が最も重いと認められるから之に併合加重をした刑期範囲内で主文第一項掲記の刑を量定したが此等刑の執行を猶予する情状があるから各同法第二十五条により之が猶予期間を定め収受した利益の追徴につき各同法第百九十七条の四を訴訟費用の負担につき各刑事訴訟法第百八十一条を各適用して主文の通り判決したのである。(昭和二八年六月三日水戸地方裁判所太田支部)

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